シンプル・イノベーション (Simple Innovation)

複雑で込み入った事象の単純化にトライ & 新しい発見を楽しむブログ by こうのすけ

白黒猫のたっちゃんが跳んだ日

ある日、たっちゃんは屋根の上を歩いていました。

二階の部屋の小窓から、その姿が見えたのです。

たぶん、どこかへ遊びに出かけて、

帰ってきたところだったのでしょう。

私はたっちゃんを招き入れようとして、

小窓の内側から呼びかけました。

「たっちゃん、おいで」

 

すると、しばらく思案した後に、

たっちゃんは意を決して、跳びました。

部屋の中にいる私めがけて・・・。

しかし、問題は小窓でした。

窓を半分開けてはおりましたが、

空いている方の空間には網戸が・・・。

時すでに遅しです。

あっと思ったときには、

たっちゃんはブルブルと少し震えた刹那、

思いっきりジャンプしました。

そして、当然のごとく網戸に激突。

すると、ムササビかと見間違うくらいの早業で、

網戸にペタッとへばり付いたのです。

防衛本能というのでしょうか、

たっちゃんは網に爪を立て、

自分が落下するのを防いでいました。

 

かといって、体そのものは身動き出来ず

どうすることも出来ません。

自由に動くのは首から上だけです。

たっちゃんは頭を上下左右に動かしながら、

今のこの状況を把握しようとしました。

しかし、その時のたっちゃんの顔には、

明らかに困惑の色が浮かんでいました。

 

私は網戸をそっと開け、上半身を捩じって、

小窓の外の空間に身を捻じり込ませました。

そして、前屈みになり、

たっちゃんが私の背中に乗りやすいような体制を

作りました。

 

たっちゃんは私の意を汲んでくれたのか、

私の背に乗ってくれて、何とか救出することが出来ました。

ただ、その際、たっちゃんにだいぶ爪を立てられました。

たっちゃんの爪のせいで、背中がズキズキ痛むのです。

ですが、愛しい相手から受けた痛みならば、

それも快感だったりして・・・。

━━━ということを身を以て知ったのでした。

 

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(たっちゃんのおてて)