【奇妙】なハエと水滴、そして、観察する私
先日、私は奇妙なハエを見た。
私はベランダに出て、空など眺めていた時だった。
視界の片隅で、何か黒い点のようなものが動くので、
気になって目を向けると、それは、一匹のハエだった。
そいつは、こちらに飛んで来たかと思うと、
空中を気ままに泳いだ後に、ベランダの手すりの上に着地した。
風はなく、穏やかなある日の午後だった。
手を伸ばせば、すぐ手の届く距離だった。
私は、べつに、見たくて見たのではなかったが、
至近距離ゆえ、ハエの姿がはっきり確認出来た。
そのハエが、普通のハエ、つまり、
変な物をぶらさげてさえいなければ、
私はそのまま、見過ごしたであろう。
だが、あろうことか、この時のハエは、
水滴をひとつ、ぶらさげていたのだ。
ハエの顔の前面というのか、口というべきか、
その辺りを支点として、ハエは水と思われる液体一滴を
垂直にぶらさげて、ジッと動かないでいた。
ハエも、小さな生物だ。 水滴とハエの大きさは、
およそ「水滴3:ハエ5」の割合に見えた。
ハエは、こうやって水を飲むのか・・・?
などと驚きながら、私は少し観察してみる気になった。
しばらく見ていると、水滴は徐々に縮小し始めた。
私は、やっぱりハエが水を飲み始めたと思い、
尚も観察していると、
水の大きさが半分くらいになったところで、
ハエは水滴をスルッと一気飲みしてしまった。
まるで飲兵衛のような、見事な呑みっぷりだった。
ハエは、水を飲んで満足したのだろうか?
しばらくすると、ハエは前後の足を交互に震わせたり、
こすり合わせたりし始めた。
やがて、また動かなくなった。
昼寝でも始めたのか・・・と私は思ったが、
直ぐさまこのハエは、いや、水滴はと言うべきか・・・
いずれにせよ、信じがたい現象が、
私の目の前で起こった。
・・・逆流してきたのだ・・・水が。
ハエの口(?)から、先ほど飲んだ水が、
溢れ出してきて、また元の水滴の形に、
復元されていくではないか!
オォッ・・・私はそう叫びこそしなかったが、
この事態をどう判断したものか、
考えあぐねて混乱した。
「おまえは、いったい、何をしとるんじゃ?・・・・」
後になって考えると、この時のハエの様子を
スマホで撮っておくべきだった。
写真付きで、このブログに発表出来ないのが
残念でならない。
ちなみに、私はウソを言っているのではない。
本当の話しだ。 信じてもらうしかないが・・・・
ところで、あのハエは、いったい、
何をしていたのか?
なぜ、せっかく飲んだ水を戻したのか?
いや、ひょっとすると、あれは水じゃなくて、
涙だったのか?
それとも、あれはあれで、
ハエの一般的な水の飲み方なのか?
あるいは、遺伝子に、
何らかの異常をきたした新種なのか?
大学の研究者か、あるいは、
キンチョールの品質管理の方か、
誰でもいいから、ぜひ教えてほしい。
(もしご存知の方がいらっしゃるなら、
教えてください)
出来るならば、あの時のハエの心理状態も知りたい。
嬉しかったのか、悲しかったのか、
ただ水が欲しかっただけなのか、あるいは、
行水のつもりで、身を清めていたのか?(笑)
そこまでわかれば、私の気持ちもスッキリする。
(先日・・・と書きましたが、もうかれこれ
10年以上前のことです)