高校時代の思い出・・・偽善ついでに、
あれは、高校何年生のことだったか、
下校時にちょっとした事件があった。
ある駅で下車し、ホームを歩いていると、
赤い羽根募金を催促(?)する集団がいた。
そのほとんどは、オバサマ達であった。
すれ違いざまに、一人のオバサマが、
赤い羽根を持った手を振りかざし、
私の友人に近づいたのである。
『募金、お願いしま~す!』
と言いつつ、振り上げた腕を友人の胸ポケッ
トをめがけて振り下ろした。
恐らく、友人の胸ポケットに赤い羽根を忍ば
せようとしたのだろう。
ところが、オバサマは急いていたのか、
手と腕の動きに繊細さを欠いていた。
このとき、季節は真夏であった。
当然、上着などは着ていない。
薄手の半袖カッターシャツ姿だった。
その胸ポケットに向かって、
赤い羽根が急降下したのである。
『痛いッ!』
赤い羽根の針が、彼の胸にまともに刺さった。
痛くて当然だった。
友人は険しい顔で、刺した相手を睨みつける。
そして、オバサマに向かって、
何か文句を言ったとは思うが、
彼がどんな抗議を行ったのかについては、
残念ながら、よく覚えていない。
ただ、彼は私の友人の中でも、
筋金入りの『偽善嫌い』であった。
そのオバサマに対しては、
執拗に暴言は吐くことはなかったとは思うが、
そのことで私には、何度となく、
ブチブチ言っていたような記憶がある。
(Photo by 友人S in the Osaka USJ)