シンプル・イノベーション (Simple Innovation)

複雑で込み入った事象の単純化にトライ & 新しい発見を楽しむブログ by こうのすけ

歌っていた曲がイマジン、ゆえに逮捕を免れたらしい話

 

先般、友人宅に招待されました。

少し、早かったのですが、

仲間内での忘年会を催しました。

パリに住む参加できない友人はから、

新作のボジョレー・ヌーボーが届き、

皆で一緒にそれを味わいました。

ご承知のように、

パリは参事があり、大変な状況ながら、

そんなことは無関係化の如く、

ボジョレー・ヌーボーは美味でした。

 

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わざわざ送ってくれた友人によると、

パリのラジオ局では、

テロ直後は『イマジン』が頻繁に流されて

いたとのことですが、

最近はすっかり聴かれないとのこと。

やはり、何らかの統制のようなものが、

敷かれたのだと考えられます。

 

というわけで、本日は、

私の個人的な思い出として、

『イマジン』のことを書いてみます。

まあ、ヒンシュクを買うよな話ではある

のですが・・・。

 

40という年齢を超えられた方々ならば、

わかっていただけると思います。

20代が終わって、

30代に突入するときも淋しいのですが、

40歳の大台を超えることは、

比較にならぬほど淋しさを感じます。

言いようのない絶望感・・・といえば、

少し大袈裟過ぎるでしょうか。

でも、私にすれば、

人生はこれで終わったかのように感じた

ものでした。

 

しかし、それでも人生は続きます。

あれは、40歳を超えて数年経ったころで

しょうか、ある友人と酒を酌み交わす機会

がありました。

 

焼き鳥屋で二人で散々に酒を飲んだ末、

店を後にする中年男の二人でした。

道を歩いて暫く行くと、

左手に当地では有名なある宗教関連施設が

目に入ります。

鉄製の柵で出来た扉を押してみると、

すんなりと開きました。

もう時刻は夜の11時を廻っていましたが、

こんな時間になっても、

来る者は拒まずといった姿勢の表れなのか

もしれません。

 

開かれた扉に誘い込まれるようにして、

敷地の中へと、ふらふらと脚を踏み入れて

しまうバカな二人でした。

それでも、建物の中にはさすがに侵入する

ような真似はしませんでした。

特段、用事もなかったですし、

こちらは酔っているし、

迷惑はかけたくないという気持ちは、

酔っているとはいえ、

微かにはあったのだと思います。

 

扉の傍らには、石段があって、

それを数段登るとちょっとした広間になっ

ており、ちょっとしたステージのような

様相でした。

少し、歌ってみたい衝動が湧いてきました。

30代まではよくやっていた、

悪ふざけのノリが急激に頭をもたげて来る

感じです。

 

ふいに、あるメロディーが口を突いて出ま

ました。 意識してのことではありません。

それは、ジョン・レノンの『イマジン』とい

う歌でした。

 

私が一番の歌詞を歌い始めると、

そのノリをいち早く察し、呼応した友人も、

一緒に歌い始めたのでした。

中年のオッサン二人による独唱です。

 

『イマジン』という歌はとても短いです。

わずか、3分ほどで終わってしまいます。

3番の歌詞を歌い終えるかどうかのときに、

きっと誰かが通報したのでしょう、

制服の警察官二名がやって来ました。

 

『もうわかったから、さっさと帰って!』

 

不法侵入か何かの罪で、

逮捕されてもおかしくない状況ながら、

警察官は私と友人を扉の外へ誘導し、

そのまま無罪放免にしてくれました。

恐らく、逮捕するほどの極悪人とは、

思えなかったのかもしれません。

 

通報した人は誰だかわかりませんが、

そこそこ大きな声で歌っていましたし、

深夜ゆえよく響いたに違いありません。

それでも、お咎めなしとは・・・。

 

後から考えると、歌っていた曲がよかった

とか・・・?

なにせ、平和を志向する歌ですから。

とはいえ、宗教関連施設にて、

この歌を歌うのは問題有りのはずです。

歌詞の中には、宗教は必要ないとも取れる

歌詞がありますから。

あえて歌った私は相当に嫌味な男です。

 

けれど、バチはしっかり当たりました。

帰り道でふとポケットに手をやると、

車のキーが見つかりません。

(車に乗って帰ろうとしたわけじゃあり

ません。 車はちゃんと家に置いて、

飲みに出ました)

 

宗教関連施設の手前まで戻って、

キーを探したり、側溝なども散々探し廻り

ましたが、どうしても見つかりません。

あきらめて、その夜は友人宅に泊めてもら

いました。

 

友人には泊めてもらっただけでなく、

大変お世話になりました。

キーを探すのを手伝ってくれて、

奥さんまでも参加させてしまい、

三人で1時間以上はドブの中などを含め、

あちこち探しと思います。

こんなバカな私のために、友人夫婦には

迷惑を掛けてしまいました。

 

それでも、私は密かに心を打たれており

ました。 友人とはいえ、他人のために、

ここまで出来るものでしょうか。

さすがは、『イマジン』を一緒に歌ってく

れる人だと感じ入ったのです。

 

その夜、車のキーは結局見つかりません

でした。

 

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(Photo by 友人S in the Osaka USJ)