シンプル・イノベーション (Simple Innovation)

複雑で込み入った事象の単純化にトライ & 新しい発見を楽しむブログ by こうのすけ

イチロー選手のWBC2009、場とリズムの考察

昨夜、イチロー選手の引退発表され、
引退会見も行われた。
その模様を、ずっと観ていた。
———長い間、お疲れ様。
今はそれを言うだけで精一杯だ。


しかし、書きかけた記事を完成させようと思う。
2009年第2回WBC予選東京ラウンド韓国戦だ。



———プレーボール直後の閃光が原因となり、
試合は一球も投げられることなく中断した。
韓国先発の奉(ボン)投手は携帯などのフラッシュを
禁止にするよう主審に告げていたように思う。
その間、どれくらいの時間を要したであろうか?
恐らく、5分や10分で終わるほどヤワな押し問答では
なかったと思う。
ただ、確かだったのは、
試合がいきなり中断したせいで、
間(ま)が空き、球場内の盛り上がりが一気に冷め
てしまったことだ。


イチロー選手にとって、ルーティンとは、
「場」に没頭するための儀式であり、
同時に「結界」を張る為の作法でもあった、
と言えまいか………。


そうやって、彼は試合の主導権を常に
握ってきたし、
無意識かもしれないが、
握ろうと努めてきたのだと私には思える。


だが、韓国戦に於いては、
奉投手の長い抗議によって、
イチロー選手の方が崩されてしまった。
試合開始直後の執拗な抗議によって、
流石のイチロー選手も身体リズムが狂った。
いつもなら球場全体をも支配し、
イチロー選手の活躍を支えてきた生体エネルギー。
この時のイチロー選手はそれを失った状態だったの
ではないだろうか。


しかしながら、イチロー選手の不調は、
幸いにも次戦の対キューバ戦に於いて、
ようやく終わりを告げようとしていた。
日本が5ー0でキューバで勝った試合だ。


この試合で、イチロー選手は自らに課した送りバント
を失敗して陰の極みに陥った。
それでも、次の打席、イチロー三塁打を放つ。
これまでの不振がまるで嘘の様な、
火の出る様な会心の当たりであった。
長く苦しいトンネルから抜け出せる兆しが、
漸く見え始めたのであった。


つづく、


(※このコラムは一部フィクションを含みます。
特に野球の技術に関する記述は、
私の勝手な想像の産物であり、
実際の事実とは何ら関係がありません。
その旨悪しからず、予めご了承願います)