シンプル・イノベーション (Simple Innovation)

複雑で込み入った事象の単純化にトライ & 新しい発見を楽しむブログ by こうのすけ

飼い猫のアサリと、退屈な日常に挑んでみた話

朝のシャワーを浴びようと、

脱衣所で衣類を脱いでいるところだった。

すると、ドアが開いていたのだろう、

飼い猫のアサリがそっと入って来た。

なにやら憂え顔のアサリ。

やおら、私の顔を見上げ、「ニャー」と一声鳴いた。

 

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アサリは脱衣所の床にゴロンと横になる。

そして、バスマットを手繰り寄せると、

後脚でそれを大事そうに抱え込んだ。

次の瞬間、生地で盛り上がったところをめがけ、

早々と戦闘を開始した。

自分が後脚で抱え込んだバスマットに向けて、

思い切りネコキックを繰り出すのだ。

何発もの後脚蹴りがバスマットに浴びせられた。

 

明らかに、欲求不満である。

変わり映えのしない、退屈な日常に対する・・・。

猫も喰っては寝て、寝ては喰っての生活だけをして

いるようにも思えるが、

きっと、それだけでは足りないのだろう。

同じ生き物である限り、猫にも、

非日常的なプラスアルファーの刺激が必要なのだ。

 

「それなら、アサリ、一緒に退屈な日常に挑もう」

 

私はそう宣言すると、アサリを抱いて浴室に入った。

滅多にしないことをアサリにしてやろうという魂胆だ。

この夏、暑い日が続いたにもかかわらず、

私は一度もアサリを洗っていなかった。

 

「ちょっと、気分転換にシャワーでも浴びて、

 サッパリしなはれ・・・・」

 

だが、虚を突かれて、アサリは動揺していた。

勢いよく流れ出るシャワーの音・・・・。

水しぶきが浴室に充満し始めると、

アサリは何事が起こるのかと、

目をまん丸にしながら、

私から後ずさるのであった。

そして、シャワーのお温をかけ始めると、

アサリはうるさく鳴き始めた。

もちろん、お湯の温度は適温にしていたが、

そもそもが、アサリにとっては、

迷惑な話しだったかもしれない。

 

いずれにせよ、私としては、

大事なアサリのお肌には、

それなりに気を遣わねばならない。

私の愛用する「アミノ酸系シャンプー」をひと押し、

それから、「塩素の害から地肌を守る云々のシャン

プー」からもひと押して、つまり、

二種類のシャンプーをブレンドするという念の入れ

ようだった。

 

やがて、アサリの身体がアワアワとなる頃には、

観念したのか、アサリは抵抗を示さなくなった。

むしろ、気持ち良さそうにしていたくらいだ。

 

猫というのは、犬と違って”ブルブル”をしない。

だから、私はアサリをタオルで何度も拭いた。

ほのかに、シャンプーの香りがする。

 

「おおー、いい女じゃないか、アサリぃー!」

 

恐らく今日は、猫のお仲間の間でも、

この匂いはいったい何なんだと話題になるだろう。

 

「さあ、行っておいでアサリ。

 今日という非日常を、楽しんでおいで!」