シンプル・イノベーション (Simple Innovation)

複雑で込み入った事象の単純化にトライ & 新しい発見を楽しむブログ by こうのすけ

陽水さんの歌が気になって、妻に傘を届けてみた

ある日の午後だった。
俄かに雲行きが怪ししくなり、
これは降るなと見当を付けていたところ、
本当にパラつき始めた。
傘は持っていなかったが、
幸いにも、家の近くを私は歩いていた。


この日の午前、妻も某所へ出掛けており、
所用が無事に片付いたならば、
そろそろ家路に着いた頃ではないか。
などと私はぼんやりと想像し、
同時に、妻も傘を持参した上で家を出たという
記憶が私にはなかった。
恐らく、雨が強くなれば、困ることだろう。


傘か……。


そこで、私の頭の中で、久しく忘れていた、
あの歌のフレーズが浮かんで来た。


井上陽水の『傘がない』だ。


都会では 自殺する 若者が増えている
〈省略〉
だけども、問題は今日の雨 傘がない

行かなくちゃ 君に逢いに行かなくちゃ

君の街に行かなくちゃ 雨に濡れ


歌の力は偉大という外ない。
私は催眠術にかけられたように、
妻に傘を届けたくて仕方がなくなった。
大雨が降ってる訳では決してない。
何を馬鹿な……と分かってはいるのだが、
もうどうにも止められないのだ。


十数分後、私は傘を二本持って歩いていた。
一本は私ので、もう一本は妻用だ。
家まで取りに戻ったのである。
この先の交差点を左折すれば、
妻が所用で行った先まで一直線で行ける。


だが、交差点を曲がると、
歩いている妻と出くわした。
妻は私と私が持っている傘を見て、
わぁっ、と小さく言って、笑った。


・・・・・

Amazonより画像を拝借しました)


『傘がない」

井上陽水さんのデビューアルバム、『断絶』の中の収録曲。


最近、下記の英訳詩集が出版されました。


英訳されたロバート・キャンベル氏によると、
「傘がない」の英訳は、

I’ve got no umbrella.

としたそうです。


確かに、I have no umbrella.よりもずっといい
ですね。(笑)