ジョン・レノン似の名前の赤ちゃん、その名付け親の顔を見たいと思った話
稀に、一人で静かに飲みたくなることがある。
といっても、バーなどにはまず行かない。
元々が口下手の私だから、
マスターと何を喋っていいかわからない。
無言でいるのも、なかなか辛いものだ。
手持無沙汰で気が引ける。
そんなときは、ちょっとした料理を出す店に限る。
8年前のある夕方、
私は巷で餃子の名店とされる店に、
一人で入った。
以前から、ぜひ行ってみたと狙っていた店だ。
食べてみると、たしかに美味しい。
私は、耳にするままに、
店の女将と、常連客と思われる男の会話を聴い
ていた。
「ママの娘さん、赤ちゃんが生まれたんやって?」
「そうなのよ、女の子なの。 可愛いわね、
見る度に変化があって、面白いのよ」
「名前は何にしたの?」
「それがね、リノンちゃん。
『稟』」という字と、『音』という字をとって、
『リノンちゃん』って言うの。
娘の旦那がつけたのよ」
「おぉー、ジョン・レノン、に似ているなぁー」
ここで、私はビールを吹き出しそうになる。
「凛」と「音」で『リノン』・・・・。
たしかに、イケている!
ジョン・レノンのことを書いている私とすれば、
なぜか、妙に嬉しくて仕方がない。
『凛』という漢字と、『音』か・・・。
いったいどういう発想で、この二文字を繋げた
のだろうか。
しかも、『リノン』と読ませるとは・・・。
名付け親は、なかなかのセンスの持ち主であろう。
ビートルズと聞けば、
思わず涙腺が緩んしまう私としては、
是非この名付け親に会ってみたいと思う。
つづけて、常連客のオヤジは言う。
「こういう感じの名前、増えたよなぁー。
最近はもう驚かへんもんなぁ。
そういう時代になったんやろうな。
むかし、話題になった、『悪魔ちゃん』ちゅうの
はどないなったんやろうなぁ・・・」
ほんとうに、どないなったんやろう?
虐められていなければ、よいのだが。
(尚、1個前の記事で、『凛音(リノン)』という
娘を登場させましたが、この名は、この時の会話
から拝借した(パクッタ)ものです)